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研究紹介

CO2排出量を加味したエネルギー取引システム

研究背景

地球環境の保全に関して,温暖化の主因と考えられているCO2排出量の規制が21 世紀の最重要課題のひとつと言われています. そのため,事業者や個人に対してCO2排出量規制が課されるという状況が考えられなくもありません.

一方で,電気事業法をはじめ関係諸法の改正に伴いエネルギー売買の自由化が進ん でいます. これまでより,企業間でのエネルギー売買がより柔軟に行えるようになるかもしれません.

企業はエネルギーを買ってくるだけでなく,ボイラやタービンなどを使って自分でエネルギーを生産することが出来ます. 例えば,ガスタービンを持っている企業はガスを購入して電気と熱を生産することが出来ます. 企業は,自分のエネルギー需要を満たすためだけにエネルギー生産を行ってきました. しかし,機器には最も効率の良い動作点があります. 自分のエネルギー需要を満たすためだけならば,効率の悪い動作点で運転させなければならないかもしれません.

もし,企業間でエネルギー取引が柔軟に行えるならば,各種エネルギーを生産する設備を持つ企業が,エネルギー売買を考慮した機器の運転を行うことで,エネルギー利用の効率化が達成できます.

分散エネルギー管理システム(EMS:Energy Management System)とは

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本研究の目的は,電力・熱エネルギーの有効利用です.この実現により,コストおよびCO2排出量の削減などのメリットが得られます.では,具体的にどのようにして電力・熱エネルギーの有効利用を達成するのか.われわれは、エージェント(工場・ビルなど)間での余剰エネルギー売買によってこの目的を達成しています.実際の日本での事例として,家庭や企業の太陽光発電で生産した電力の余剰分を,電力会社が買い取り,それにより太陽光発電での電力を有効利用しています.このような余剰エネルギーの売買をエージェント間において行うことで,エネルギーを有効利用することを目指しており,これを実現するシステムとして分散EMSを研究しています.

しかし,企業毎にCO2排出量制約が課せられているとすると,他の企業のために積極的にエネルギーを生産しようとする活動の足かせになります. そこで,分散EMSでは群内でのエネルギー流通においてはエネルギー単価以外にCO2排出量原単位というものを使います. CO2排出量原単位とは単位量エネルギーを消費した場合に排出されるCO2量のことで,電力会社やガス会社は販売しているエネルギーのCO2排出量原単位を公表しています.

分散EMSでは,このようにCO2排出量を加味したエネルギー取引システムを用いて群全体でのエネルギー消費量の最小化を目指します.

分散EMSの利点

本システムはエネルギーの有効利用を実現します.これによる具体的な恩恵とし て,エージェントはコストを削減でき,それにより利益を得ることができます. また環境面では,CO2排出量の削減により,現在問題となっている地球温暖化の 解決策となることができます.さらに,今後事業者・個人に対して排出量規制が 課された場合には,CO2排出量の削減が企業に直接的な利益をもたらすこととな ります.

研究内容

本研究では,CO2排出量制限が課せられた,複数の独立したエージェントからな る電力および熱エネルギーの売買が可能な特別区域(以降,群と呼ぶ)を考えま す.この群内において,エージェント間で余剰エネルギーを流通させることによ り,群全体の消費コストを削減しエネルギーを有効利用することを目指してお り,群全体の消費コストをより削減できる取引手法の開発に取り組んでいます. 現在,エネルギー取引決定手法としては市場指向プログラミング(MOP:Market Oriented Programming)手法を用いることを提案しており,様々な状況下におい て群全体の消費コストの削減を可能とする手法の開発を目指し,MOP手法の改良 に取り組んでいます.

具体的には,分散EMSに関連して以下のような研究を行っています.

市場指向プログラミングを用いたエネルギー取引手法
市場指向プログラミングとは需要と供給のバランスがとれるところに価格が落ち着くという市場原理に基づく,資源割り当て手法です. この市場指向プログラミングを応用して,分散EMSにおけるエネルギー取引の決定手法について研究を行っています.
エージェントの最適運転計画
分散EMSに参加している企業は当然自身の利益を最大化しようとします. エージェントは機器の起動停止や動作点,またマーケットへの入札量を決めなければなりません. これは組み合わせ最適化問題となり,最適解を求めるのは困難です.
Last-modified: 2017-11-27 (月) 14:42:21 (14d)